公立大学法人大阪市立大学
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2013(平成25)年度入学式 式辞

 桜花爛漫、本日の晴れやかな日に、平成25年度大阪市立大学入学式に出席された学部学生1,517名、大学院学生760名の2,277名の諸君、ご入学おめでとうございます。
 本学は皆様のご入学を心より喜びをもってお迎えいたしたいと思います。
 そして、この日を長年にわたり、物心両面に亘り支え、心待ちにしてこられたご家族の皆さま、本当にご入学おめでとうございます。
 ご多忙にもかかわらずご出席いただいた関係各位のご臨席を賜り、このように平成25年度の入学式を挙行できますことは、本学にとりまして誇らしく、大きな喜びであります。

 さて、本日から皆様を迎える本学の歴史についてお話をしたいと思います。大阪市立大学は今年で創立133年を迎える長い歴史と伝統を持ち、市立の大学としては我が国で最も歴史が古く、公立大学として規模の最も大きな総合大学です。また、大阪市内に位置する唯一の総合大学でもあります。その淵源は大阪商業講習所の開所に遡ることができます。1880年(明治13年)、明治維新からわずか10年余りの時代に、当時の「大阪財界のリーダー」あった五代友厚が、当時の大阪人の熱い世論、「我が国の商業の中心として栄えている大阪に商法学校をという世論」を支持し、商業講習所創立の中心的役割を果たしました。その後、大阪市の誕生によって市に移管され、1928年(昭和3年)に大阪商科大学に昇格いたしました。
 大学に昇格したこの当時、市長?関一は開設にあたって「市立商科大学の前途に望む」と題する一文を草し、商大設立の意義と理念を述べました。そこには3つの意義が記されています。
 ?第1に、大学を大都市に必要な精神文化の中心的機関と位置づけたこと、
 ?第2に、そのためには市民の力を基礎として市民生活に密着した大学、すなわち、国立大学の「コッピー」ではない大学であること、
 ?第3に、「大都市?大阪を背景とした学問の創造」を大学の任務としたことです。
 関一によって示された大阪商科大学の理念は、現在でも輝きを失うことなく、現在の本学の理念として継承され、教育?研究?社会貢献のあり方を方向づけております。
 戦後、学制改革により、1949年(昭和24年)に新制大阪市立大学となり、昭和30年には、大阪市立医科大学を併合して、現在の8学部、大学院10研究科をもつに至っています。
 皆様は大阪市立大学の学生として4年間、あるいは6年間をまっとうされますが、その間、これからの新たな我が大学のチャレンジをまさに目撃されることになろうと思います。また、次世代への大きな飛躍のチャンスをともに得ていただいきたいと思います。

 本日の、皆様のこのよき日の機会に、言葉を送らせていただこうと思います。
高原慶一郎様については、ご存じの方も多いと思いますが、ユニ?チャームの創業者で現取締役ファウンダーであり、82歳。実は、本学の新制大学の第1期生であり、本学の学友会の会長の責も担っていただきましたし、本館地区にある高原記念館は氏の寄付によるものです。
 その高原大先輩は多くの著書を執筆しておらますが、その中にPHP社の「人生を生き抜くカン?コツ?急所」という著書があります。全編、84の人生にとっての含蓄のある言葉がちりばめられています。
 この本の「あとがき」のなかで、あえて新たに改定版を執筆したことについて、「自分の中に宿る三つの「魔」が突き動かしたからだというのです。
 「目標魔」「実行魔」「貫徹魔」の三つの「魔」だそうです。通常は“魔が差す”という「魔」は弱い心に住んでいますが、「この「目標魔」「実行魔」「貫徹魔」という三つの「魔」は強烈な執念と確たる信念を持った心にしか住みつきません。」と述べられています。進化論のダーウィンは、生物で最後まで生き残るのは一番強い種でもなく、一番賢い種でもなく、変化し続ける種だと看破しという話や、チャップリンは晩年に「生涯の作品でどの作品がいちばん良かったか?」と問われて「次の作品」と答えたという話を紹介されておられます。ダーウィンやチャップリンにこの三つの「魔」が住んでいると直感されたということでしょうね。
 執筆時74歳の大先輩の高原氏にしてさえこのような心意気を示されています。ましてや、諸君は本日が人生の新たなフェーズに入る最初の日です。出発の晴れの日です。大いに大望をもち、進化し続けて欲しいと思います。その心の中に三つの「魔」――「目標魔」「実行魔」「貫徹魔」――を抱かえ続けていただければと思います。
 社会、世界は急激に、あるいは過激に変化し、変容してきています。また、恐ろしいほどの、そして予測すらできない災害も襲ってきます。このような世界においてグローバルな生き方はもう必須なことです。そのベースとなる幅広い教養、深い専門分野の能力を習得し、さらに高めていくためにもこの三つの「魔」は求められる基本的な姿勢であるのではないでしょうか?
 ご入学のこの日に際し、有意義で可能性の広がる学生生活、研究生活を、本学で、本日よりスタートされますことを祈念し、わたくしどもの心からの歓迎の意を表して、皆様への祝辞とさせていただきます。
 本日は、本当におめでとうございます。

大阪市立大学長 西澤良記

2013(平成25)年度入学式 式辞