テレスコープアレイ(TA)実験の10周年記念式典が開催されました
2018年12月19日(水)、東京大学柏キャンパスにて、最高エネルギー宇宙線の観測を目指す「テレスコープアレイ(TA)実験」の10周年記念式典およびシンポジウムが開催され、関係者らおよそ90名が出席しました。本学からは、現在TA実験代表を務める理学研究科の荻尾彰一教授、櫻木弘之理事兼副学長が参加しました。
記念式典では、東京大学 宇宙線研究所の梶田隆章所長、東京大学 松木則夫理事?副学長、大阪市立大学 櫻木弘之理事兼副学長、ユタ大学 CHARLES JUI教授よりそれぞれあいさつがなされました。櫻木理事兼副学長は、「大阪市立大は、宇宙線研究の草創期より、多くのパイオニアの先生方が貢献してきました。南部陽一郎先生が教鞭を執った本学では2018年11月、南部陽一郎物理学研究所を立ち上げました。これらをベースに、今後も宇宙?高エネルギー分野の国際共同研究に取り組んでいきたいと考えています」などと述べました。 また、プロジェクトに協力した企業9社(インスメタル、オーパックサービス、湘南電子機器、明星電気、カイズワークス、ジーテック、クラレ、京セラ、浜松ホトニクス)の代表に対し、梶田所長から感謝状の贈呈も行われました。
記念シンポジウムにおいて講演を行った荻尾教授は「超高エネルギー宇宙線観測の将来計画」と題して、最高エネルギー宇宙線研究の世界規模での将来計画と協力関係について説明しました。
ご参考)東京大学Webサイト https://www.u-tokyo.ac.jp/focus/ja/articles/z0208_00023.html
式典での櫻木理事兼副学長のあいさつ
シンポジウムにて講演を行う荻尾 彰一教授
テレスコープアレイ(TA)実験
TA実験のサイトは、米国ユタ州の砂漠地帯700平方キロメートルに点在する地表粒子検出器(SD)と三カ所の蛍光望遠鏡(FD)から成り、1020電子ボルト付近の高いエネルギーを持つ宇宙線の観測と、その起源の解明を目指し、2008年から観測を続けてきました。プロジェクトには現在、日本、アメリカ、韓国、ロシア、ベルギー、チェコの6カ国から約130人の研究者が参加しており、2014年7月にはおおぐま座の方向に最高エネルギー宇宙線が多く到来するホットスポットの兆候があることが発表され、宇宙線研などが報道発表を行っています。
?荻尾教授からのコメント
TA実験の運用開始から10年を迎えることができました。研究を順調に継続できたのは、研究に参加した研究者?大学院生だけでなく、本学を含む関連研究機関の教職員他、多くの関係者の皆さまのご助力、ご支援、そして叱咤激励のおかげです、ありがとうございます! 今、TA実験は2つの拡張計画、低エネルギー側へ感度を広げる「TALE実験」、有効面積を4倍に広げる「TAx4実験」をまさに軌道に乗せつつあるところで、世界の超高エネルギー宇宙線研究にさらなる貢献をすべく進んでおります。皆さまには変わらぬご支援をお願いします。今後の成果にご期待ください!