初の快挙!病院事務職員が医学系学会誌に論文を発表
本学医学部?附属病院事務局施設課の職員で、医学研究科医療安全管理学の修士号を取得した小松友さんの論文が日本医療?病院管理学会誌に掲載されます。初の快挙を受け、小松さんと指導教員の山口悦子准教授にお話を伺いました。
- 医学研究科を受験された経緯について教えてください
小松さん:私は芸術大学を卒業していますが、「Art in Hospital(※1)」を学ぶために大学院進学を希望していました。大学に相談したところ、この分野で活発に活動しておられた山口先生を紹介していただき、市大の医学研究科受験にチャレンジすることになりました。
山口先生:ご相談いただいた時、病院の現場を見てから本当に進学した方がいいのか考えてほしいと思いました。そこで、まずは病院職員として働くことを奨めました。
小松さん:採用試験に合格し、偶然にも施設課に配属された時は大変驚きました。日々、職員として働きながら現場の課題を捉え、大学院での研究テーマについて考えながら、1年かけて受験の準備を進め、合格を勝ち取りました。今回は大学院で取り組んだ研究をベースに、山口先生のご指導を得ながら一本の論文に仕上げることが出来ました。
- 論文の内容について、また、今後の展望をお聞かせください
小松さん:医療現場では、事故など患者さんにとって予測していない不都合な出来事が起こった、あるいは起こりそうになった場合に報告書を作成します。これを「インシデントレポート」と呼びます。このレポートを元に、どのような場所でインシデントが多く発生しているかを集計した先行研究はありました。今回の論文では、患者からの投書とインシデントレポートという、どの病院でも入手可能なデータを用いて焦点を絞り、さらに「FMEA(※2)」という分析手法を組み合わせることによって、それぞれの場所でどのような状況の元で事故が発生しているか、詳細に示すことができました。この方法を使えば、根拠を持って施設管理上のニーズを予測し、具体的な対策を立て、必要な予算措置を検討することも可能となります。
山口先生:私は現場にフィードバックできる研究をすることが重要だと考えています。その視点でも、小松さんの研究は意義がありました。
本学はスタッフディベロップメントに力を入れていると聞いていますが、小松さんのように、業務に支障を来すことなく、研究にも取り組んで下さる職員の方が益々増えることを期待しています。
一方これは、上司の方、同僚の方の支援?協力が無ければ果たせなかったことです。今後も、大学の発展のために、組織全体で職員の進学や研究、資格取得を後押ししていただきたいと思います。
https://www.jstage.jst.go.jp/browse/jsha/-char/ja/