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小児集中治療室での医療の質改善に関するシステマティックレビュー ~研究報告の質の問題を初めて明らかに~

プレスリリースはこちらから

この研究発表は下記のメディアで紹介されました。
◆3/31 医療ニュース(WEB)

本研究のポイント

◇小児集中治療室での医療の質改善に関する論文数は経年的に増加しているものの、研究報告の質は必ずしも高くない
◇今回行った系統的評価で、質が高いと判断された研究は17%、質改善の研究を報告するためのガイドラインを引用していた論文はわずか5%

概要

 大阪市立大学大学院医学研究科 医療の質?安全管理学の山口 悦子准教授、稲田 雄大学院生らの研究グループは、小児集中治療室における医療の質向上について記述した文献を調査し、質改善の論文数は経年的に増加しているものの研究報告の質は必ずしも高くないことを明らかにしました。
 日本のものづくりにおける継続的質改善(KAIZEN)は有名ですが、残念ながら医療分野での質改善の取り組みの報告は、欧米から遅れをとっているのが現状です。小児集中治療室では、重症な患者に対して複雑な医療をタイムリーに行う必要があるため、質改善の必要性とその効果は大きいと考えられます。近年は研究報告も増えていますが、今までそれを系統的に評価した質の高い研究がありませんでした。
 本研究グループは、小児集中治療室で行われている医療の質改善研究の全容やそれらの研究報告の質を評価するため、0~16(満点)のスケールで採点し既存の文献の系統的評価を行いました。その結果、分析対象として採用した158件の質スコアの中央値は11.0で、質が高い(スコアが14~16)と判断された研究は17%、質改善の研究を報告するためのガイドライン「Standards for Quality Improvement Reporting Excellence」を引用していた論文はわずか5%でした。
 この結果は医療分野での質改善研究報告の質に改善の余地があることを示唆しています。
 本研究成果は2021年2月26日(金)に国際学術雑誌「Pediatric Critical Care Medicine」(IF = 2.854)にオンライン掲載されました。 

掲載誌情報

雑誌名:Pediatric Critical Care Medicine
論文名:Quality Assessment of the Literature on Quality Improvement in PICUs: A Systematic Review
著者:Inata, Yu MD1,2; Nakagami-Yamaguchi, Etsuko MD, PhD1; Ogawa, Yuko MD2; Hatachi, Takeshi MD, PhD2; Takeuchi, Muneyuki MD, PhD2
1. Department of Medical Quality and Safety Science, Osaka City University Graduate School of Medicine, Osaka, Japan.
2. Department of Intensive Care Medicine, Osaka Women’s and Children’s Hospital, Osaka, Japan.
掲載URL:https://journals.lww.com/pccmjournal/Abstract/9000/Quality_Assessment_of_the_Literature_on_Quality.97858.aspx